流域圏環境再生センター

流域圏とは?

太田川-広島湾流域圏

 雨は山(森)に降り,川となり,里を通って海に流れ込みます.これにともなって,栄養分や土砂も海へ流れ出て,海の生態系を豊かにします.「流域圏」とは,山の稜線で囲まれた森から海までの山・川・里・海すべてを指します.
 自然科学的アプローチをする場合,このように,水・土砂・栄養分の動きを理解しようとすると,流域圏を一体として捉える必要があります.
 ところが,行政区分は必ずしもそのように自然科学から見て分かりやすいものにはなっていません.山の稜線がそのまま県境や市町村の境になっているところは良いですが,川が行政区域の境になっている場合は,川の両側とも含めて考えたいのに,これでは明らかに不都合です.
 海でも同じです.例えば,広島湾はすべてが広島県の管轄かというと,湾の西側は山口県です.
 川は身近な環境として(良い悪い含め)さまざまな取り組みがなされてきました.山もそれほど多くはないにしろ,植林や下草刈りが行われています.

 これに対して,海は住民生活からもっとも遠い場所のように思えます.海岸の埋め立ては藻場・干潟など生物の生息にとって重要な場所を喪失させただけでなく,埋め立てられた場所には工場が建てられ,立ち入り禁止区域もあります.また,防波堤が高くて海が見られない場所も多くあります.
水だけがきれいなら海の健康が保たれていると考えるのは大きな間違いです.海の底にはヘドロが溜まり,生物の生息が非常に困難な場所があります.

 流域圏の水,土砂,栄養分が最終的に行き着くところは海の底です.この終着点の環境改善こそがもっとも緊急の課題と考えます.
 それぞれをどうしたら良いかということでもありますが,実は流域圏の問題は海の泥に凝集されていると言っても良いかもしれません.

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